首相官邸で5月18日、1億総活躍国民会議が開かれ、「ニッポン一億総活躍プラン」案を決定しました。
働き方改革の推進として、非正規雇用労働者の待遇改善や長時間労働の是正が具体的な施策として盛り込まれています。
非正規雇用労働者の待遇改善、最低賃金(全国加重平均)1000円、三六協定で健康確保に望ましくない長い労働時間(月80時間超)を設定した事業者への指導強化、三六協定のあり方そのものの検討、勤務間インターバル制度導入企業への支援策、女性活躍推進法の見直しなど、法改正、助成金等の拡充・新設が視野に入っている大改革を予感させます。
(非正規雇用労働者の待遇改善)
• 女性や若者などの多様で柔軟な働き方の選択を広げるべく、非正規雇用労働者の待遇改善を更に徹底していく必要があり、同一労働同一賃金を実現するため、
①労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法の的確な運用を図るため、どのような待遇差が合理的であるか又は不合理であるかを事例等で示すガイドラインを策定し、普及啓発を行う。
②ガイドラインの策定等を通じ、不合理な待遇差として是正すべきものを明らかにする。その是正が円滑に行われるよう、欧州の制度も参考にしつつ、不合理な待遇差に関する司法判断の根拠規定の整備、非正規雇用労働者と正規労働者との待遇差に関する事業者の説明義務の整備などを含め、労働契約法、パートタイム労働法及び労働者派遣法の一括改正等を検討し、関連法案を国会に提出する。
• 最低賃金については、年率3%程度を目途として、名目GDP成長率にも配慮しつつ引き上げていく。これにより、全国加重平均が1000円となることを目指す。このような最低賃金の引上げに向けて、中小企業・小規模事業者の生産性向上等のための支援や取引条件の改善を図る。
一億総活躍国民会議案の「働き方改革の推進」部分は以下のとおり。
(長時間労働の是正)
• 総労働時間を抑制するため、まず、法規制の執行を早急に強化する。具体的には、
①時間外労働を労使で合意する、いわゆる36協定において、健康確保に望ましくない長い労働時間(月80時間超)を設定した事業者などに対して指導を強化するなど、長時間労働是正に向けた更なる取組を行う。
②関係省庁が連携して下請けなどの取引条件にも踏み込んで長時間労働を是正する仕組みを構築する。
例えば、
・長時間労働の背景に下請法や独占禁止法(物流特殊指定)の違反が疑われる場合に、その取締を通じて長時間労働を是正する仕組みを、厚生労働省、中小企業庁及び公正取引委員会で構築する。
・IT業界・トラック業界において、発注者や荷主と事業者の協働により、「急な仕様変更」、「長い手待ち時間」など、取引の在り方の改善と長時間労働の削減を進めるとともに、医療分野における勤務環境改善に取り組む。
③長時間労働是正や勤務間インターバルの自発的導入を促進するため、専門的な知識やノウハウを活用した助言・指導、こうした制度を積極的に導入しようとする企業に対する新たな支援策を展開する。
• 労働基準法については、いわゆる36協定における時間外労働規制の在り方について再検討。
• 若者の長時間労働の是正を目指し、女性活躍推進法、次世代育成支援推進法等の見直しを進める。
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